「パパ」の男性たちにコーチングを提供

成長志向の美鈴さんの仕事観には、交際クラブで出会った経営者たちの思考や価値観が大きな影響を与えていることが窺える。美鈴さんと男性たちの関係性を、「パパ活」や「援助交際」という表面的な言葉でひとくくりにすることは、適切ではないだろう。一方で、美鈴さんが相手の男性たちに影響を与えることもある。交際クラブ経由で出会った男性とは、いわゆるコーチング（傾聴や対話によって相手の自己実現や目標達成を図る、コミュニケーション技法の一つ）のような形で、彼らの抱えている課題や悩みを傾聴し、思考を整理する手伝いをすることが多いという。「今の会社に入ってからは、コンサルとして課題解決思考を磨いてきたので、経営者の方に対して、『この会社はこうやっていますよ』とか『こんな事例がありますよ』など、それなりにアドバイスやコメントができるようになった。元々大学院に通っていた時期に、論文執筆の過程で社会学系の本を多用していたこともあって、抽象的な話と具体的な話を行ったり来たりするのが得意なんです。ある事例から抽象的なフレームワークやモデルを引き出して、経営者の方が今抱えておられる課題に当てはめて具体化する。ディスカッションの際にも『こういったやり方はどうですか』『こんなことは考えたことありますか』と深みや膨らみを持たせられるようになりました。それに伴って、交際相手の男性の方から『役に立つ』『有難い』とおっしゃって頂けるようになった。コーチングという言葉自体知らなかったのですが、前の会社の上司からコーチングの概念をご教示いただいて、そうか、自分はコーチングができるのか、と自覚しました」自分の成長と共に、相手との関係性も成長する経営者である男性側から見れば、美鈴さんのように頭の切れる美しい女性が、現在自分の抱えている仕事の悩みを分かりやすく整理し、解決への道筋を立ててくれること、そしてベッドの中でも相手をしてくれることは、僥倖以外の何ものでもないだろう。ただし、交際クラブにおいては、出会った相手とただ男女の関係になるだけでなく、どれだけ相手の役に立てるかを重視している、と美鈴さんは強調する。「付き合うメリット・デメリットというと、すごく合理主義で冷たい言い方に聞こえてしまうかもしれないけれど、昼間の仕事と全く関係ない世界にいる相手だからこそ、話せる個人の深い悩みがある。お互いにカウンセリングというか、癒される部分があると思うんですよね。だからこそ、その過程で男女の深い関係にもなる。私の場合はコンサルなので、ビジネス的な課題の解決もできるし、コーチングに的を絞ってお話しもできる。それなりに知っている業界や領域であれば、実現までお手伝いもできるという強みがある。それは他の女性にはない、自分に『会いたい』と言ってもらえる強みです。それを活かしたいと思っています。お相手の方とお話ししていく中で、会社の社会的意義が分かってくる。そうなると、何らかの形でお手伝いしたいなと思うようになる。以前はその人を助けることで、会社も助けられればと思っていたのですが、コンサルとして成長してきて、今はダイレクトに会社を助けることもできるようになった。同じお相手でも、私のコンサルとしての経験が豊富になってくると、一対一の関係から、その方プラス会社、という関係に変わる。自分の成長と共にお相手との関係性も成長するのだと思います」