パパ活の生まれた場所

ここまでは、パパ活を行っている女性たちと、彼女たちの「パパ」になっている男性たちの語りを分析してきたが、パパ活の舞台になっている「交際クラブ」とはいったいどのような組織で、どのような人たちが運営しているのだろうか。東京都内で届出を出して営業している交際クラブの数は、おおむね60〜100店舗の間だと言われている。届出を出さずに個人で活動している「手配師」と呼ばれる人は50名程度いるらしい。全国的に見れば、少なくとも数万人の男女がこの世界に足を踏み入れ、これまでの章で見てきたような背景と動機を持ち、クラブネームという仮面をかぶり、それぞれの本音や下心を隠しながら、日夜デートを重ねている計算になる。一見すると「パパ活」という言葉は、こうした現場の当事者たちのやりとりやりとりや駆け引きの中から、自然発生的に生まれたものであるように思える。しかし、真実は決してそうではない。「パパ活」という言葉は、交際クラブ最大手の『ユニバース?楽部』(本社・東京)によって戦略的につくり出され、戦略的に広められた「パワーワード」である。『ユニバース?楽部』の代表を務める木田聡さんに、「パパ活」という言葉が生まれた内幕を伺った。

 

パパ活の生まれた場所「交際クラブ」をつくった男記事一覧

dummy

木田さんは都内の音大を卒業後、フリーのトランペット奏者として式場や遊園地、楽団で活動していた。その後、テーマパークのステージマネージャーを3年間務めた後、そろそろサラリーマンをやりたいなと考えて、営業職で仕事を探した。採用された会社は、AVのプロダクションだった。「当時はテーマパークの建前の世界にうんざりしていました。その反動もあって、AVって面白いなと考えたんです。人間のハッピーにつながる点では...

dummy

広告やスカウトで女性を集める、という話だけを聞くと、「交際クラブなんて、結局女性を騙して都合よく利用・搾取しているだけの組織なのではないか」と思う読者もいるかもしれない。しかし木田さんは、「女性を一番大切にする」という確固たる信念を持って、交際クラブの立ち上げに全力を尽くした。「交際クラブを始める前の10年で業界の裏側を見てきて感じたのが、AVのマネージャーはとてもルーズだということ。女の子には、...

dummy

ユニバース?楽部では、女性を「ブラック」「プラチナ」「ゴールド」「スタンダード」の4つのランクに分けている。その一方で、女性にはランクを伝えていない。つまり、女性は自分がどのランクなのか分からないのだ。なぜ、女性にランクを伝えないのだろうか?スタッフの話によれば、「伝えても良いことが何もなかったから」だという。例えば、スタッフから「あなたの容姿・性格だと、スタンダードですね」と評価された場合、多く...

dummy

「パパ活」という言葉は、スタッフとのマーケティング会議の中で生まれたという。「スタッフ全員、『交際クラブ』という言葉が大嫌いだったんですよ。この言葉を使って女性求人を打っても、悪い意味で何でも知っているような女性しか来ない。僕たちが欲しいのは、もっとピュアな女性の層です。その頃からは、交際クラブはセックスとお金の交換だけの世界じゃないと感じていた。多くの女性は、登録しているクラブでオファーが来なく...

dummy

アフィリエーターとは、自らが運営するホームページやブログなどに提携先企業(広告主)の商品広告を掲載し、それによって成果報酬を得る人を指す。ネットで商品名やサービス名を検索すると出てくる紹介記事や体験記事の多くは、アフィリエーターによって作成されたものだ。記事を読んだ人が文中のリンクやバナーをクリックし、それが商品の購入やサービスの成約に結びつくとアフィリエーターに報酬が支払われる、という仕組みにな...

dummy

パパ活という言葉がブームになって以降、ユニバース?楽部にはテレビや雑誌などのメディアから多くの取材依頼が寄せられるようになった。これまで審査が通らなかったような雑誌にも広告を出稿できるようになった。その一方で、女性がライトな気持ちで応募してしまい、面接でスタッフに『あなたの容姿でそこまで高望みをするのであれば、アプリで相手を探した方がいい』などの厳しいことを言われて落ち込んでしまうケースも増えてい...

dummy

パパ活という言葉はまさに今分岐点に立っている、と木田さんは考えている。「善と悪、どちらに転ぶか分からない。出会い系サイトも最初は本当の出会いを求めるピュアな人が集まる素晴らしいITサービスでしたが、そのうちにサクラや詐欺が入ってきて、危険で怖い世界だという印象になってしまった。パパ活もそうだと思います。業者がとにかく甘い言葉だけで女の子たちを吸い寄せて、そこで女性たちがひどい目に遭ってしまったとな...

dummy

歴史を振り返ると、交際クラブはあくまで陽の当たらない存在であり、そこに関わる人たちの法的な立場はグレーであり続けてきた。交際クラブのような業種は、かつて「紹介売春」として捉えられていた。1958年(昭和33年)に売春防止法が施行された後、多くの「結婚相談所」が出現した。それらはいずれも「結婚相談」という建前で売春の仲介を行う事業所であり、警察からは「紹介売春の温床」として目をつけられていた。四半世...

dummy

バブル前夜の当時、愛人バンクの世界は、一億総中流意識が広まった消費社会の中で、糸井重里によってつくられた西武百貨店のキャッチコピー「おいしい生活」を実現するために、若い女性が中高年男性に金銭的援助を求める世界……という見方で捉えられていた。しかし社会における所得分配の不平等さを示すジニ係数は、愛人バンクの登場した1980年代以降、上昇の一途をたどっている。当時の愛人バンクも、現在のパパ活と同じよう...

dummy

「東京のミッション系大学在学中に夕ぐれ族を立ち上げた22歳の女の子」という意外性に満ちた経歴を掲げた筒見氏は、一躍メディアの寵児になった。主婦向けのワイドショーをはじめ、「タモリ?楽部」「11PM」「トゥナイト」といった当時の人気深夜番組にも度々出演して、コメンテーターや芸能人らと愛人バンクの是非を巡って議論を交わした。「恋人への愛が2分の1だとすると、愛人へのそれは3分の1である」というのが筒見...

dummy

1997年(平成9年)、「東京都デートクラブ営業等の規制に関する条例」が施行され、東京都内で愛人バンクのような男女交際の仲介業=デートクラブ営業を行う場合は、東京都公安委員会への届出が必要になった。同条例によると、デートクラブ営業は「客と他の異性の客との間における対価を伴う交際を仲介する営業」と定義されている。「対価を伴う交際」というと、即座に「売春」という言葉が頭に浮かぶが、交際クラブは法的には...

dummy

そうしたリスクを減らし、不要なバッシングを避けるためには、業界を健全化していくためのルールづくりをした上で、社会的信用度と発信力を高めていかなければいけない。そう考えた木田さんは、業界の健全化を目指す協会=「一般社団法人全国交際クラブ協会」の設立を全面的にバックアップした。反社会的勢力の排除、当事者間で詐欺やスキミング被害などの事件が起こった場合の警察への情報提供といったことに加えて、性感染症検査...