女性がパパ活に走る理由

パパ活という言葉がこれだけ流行った背景、女性がパパ活に走る背景には、日本社会における中産階級の没落があると宮田さんは考えている。「キャビンアテンダント（客室乗務員）を目指している20歳の女子学生がいるとします。実家が裕福であれば大学に通いながらキャビンアテンダントの専門学校に行けますが、今の中産階級の親の年収では、まず無理じゃないですか。そこまでの学費は用意できない。バイトで稼ぐとしても、今度は学業がおろそかになる。そうなると、大学の成績を重視する海外の航空会社は入れない。そうした状況下で、パパ活に乗り出す女子学生を、あなたは責められますか、と。能力主義の階層社会においては、『上の階層に行くためには、押しよりも引きが大切』というピーターの法則が働きます。つまり、押し＝自助努力だけでは上に行けないので、既に上にいる人から引き上げてもらうことが大事になる。上流階級にいる男性たちと知り合って、引き上げてもらう。まさにパパ活ですよね。努力で解決できるのは自分の課題だけであり、男女間や階層間の経済格差といった社会の課題は、個人の努力ではどうにもできない。その壁を誰かに引き上げてもらうことで解決するのは、一体何が悪いのか。貧乏人は貧乏人らしくしていればいいのか。上の世界に憧れるのはいけないことなのか。自分の夢を叶えるためには、押しだけではなく、引きが必要です。会社も同じですよね。上司に引かれる人が出世する。そう考えると階層社会学的には『パパ活をやって何が悪い』となる。現実的に自分が使える選択肢の中で、『若さ』というカードを選び、それを活用する。叩かれやすい選択ですが、仮にそのカードを選んだ彼女たちを叩いても、叩いている人たちの現実は何も変わらない。ブルーハーツの歌詞ではありませんが、弱い者を弱い者が叩くのは、そろそろやめた方がいい。むしろ引きがないと上がれない今の社会に対して、皆がもっと問題意識を持っていくべきだと思います」