一定の「プロ臭」は必要

次回のデートの予約をしてもいいですか、と告げると、志保さんは「えっ、次の約束をしてくださるんですか？」と胸に手を当てて喜んだ。定期的に会ってもらえるかどうかは、女性にとっては生活がかかっている場合もあるので、気になるところだろう。ただ仮にお金のためだとしても、「次回の約束を喜んでくれる」というのは、少なくとも相手にとって自分が「お金をもらってもデートしたくない相手」ではないことの証明になる。パパ活の特徴は、「女性側にいつでも客＝男性を断る権利があること」だ。客を選べない仕事ではない。それがわかってくると、お互いに信頼関係が芽生えてくる。「デートのコースは、次回もこちらから提案した方が良いですか？」と志保さんが尋ねてきたので、次回以降もお任せすることにした。デートはあくまであくまで関係性を育む手段であって、それ自体が目的ではないので、プランを立てるプレッシャーであれこれ悩むくらいならば、毎回志保さんにお願いしてもいいだろう、と正一さんは自分に言い聞かせた。別れ際に、「これ、お土産です。あとで開けてくださいね」と、志保さんは手作りのバタークッキーと封筒を渡してくれた。帰りの電車の中でそっと開けてみると、次のような手書きの手紙が入っていた。