パパにとって、デートは「修行」？

正一さんは、そんな志保さんの礼儀正しさに好印象を抱くと同時に、若干の「プロ臭」を感じた。パパ活においては、女性が男性とのやりとりに手慣れていればいるほど、デートの際の気遣いが多ければ多いほど、男性はそこに「プロ臭」を感じて、逆に冷めてしまうというジレンマがある。パパになる男性は、水商売や風俗の女性ではなく、あくまで男性慣れしていない素人の女性と関係を持ちたいと考えている。そのため、女性から笑顔で「美味しいですね！」「楽しいですね！」と言われれば言われるほど、演技臭さを感じてしまうというわけだ。金銭が絡むデートをしていると、「どうせお金のために、笑顔を見せているんだろう」「お金のためにお世辞やおべっかを言っているんだろう」と考えてしまうため、疑念や猜疑心に囚われがちだ。また、デート開始から２時間が経つと、会話がやや尽きてくる。「自分でお金を払って依頼しておきながら変な話ですが、私はあまり女性と話すことが得意ではないので、会話が詰まると、そろそろ帰りたいな……と思う時もあります（笑）。相手もそう思っているのかもしれませんが」正一さんの中では、本日のデートの満足度は75点。初回としてはこんなものだろう、と感じた正一さんは、今後も志保さんと継続的に会うことにした。正直、フクロウにもクレームブリュレにも特に興味はないが、まず相手と一緒の時間を過ごすことが大事だという。「デートって、意外と男性側も疲れるんですよ。パパも疲れるんです（笑）。人と会うのは緊張しますしね。決して安くないお金を払って、わざわざ疲れることをして、何が楽しいんだ……と思ってしまいがちですが、恋人や夫婦間のデートでも、それなりに疲れますよね。デートの途中で会話が尽きることだって、普通の恋人や夫婦の間でもいくらでもあるでしょう。パパ活の相手にだけハードルを上げる必要はないし、上げる意味もない。まずは一緒に時間を過ごしたという既成事実を積み重ねる積み重ねることが大切だと思います。時間の質を追求するのは、それからでも全く遅くない。娯楽というより修行に近いかもしれませんが」