「第四の関係」を求めて

交際クラブを通して女性とオショックスを繰り返すだけでは、それなりに肉体的な満足は得られても、精神的な満足は得られない。一方、妻との夫婦関係は決して悪くないが、その中で得られるのはあくまで「夫」「父親」としての満足であり、「男」としての満足は得られない。悩み続ける過程で正一さんは「交際クラブを利用して、女性とオショックスだけではない、一定の精神的なつながりのある関係性を築くことができないだろうか」という仮説を立てた。「男女間における金銭を介した関係は、どうしても不純なものだと考えられがちですよね。しかし、多くのサービス業や接客業と同様、金銭を介した契約関係だからといって、必ずしも不純なものになるわけではない。サービス提供者と利用者の間に信頼関係が生まれない、ということもないはずです。むしろ金銭を介した契約関係だからこそ、お互いに対等かつ安全な状況で、サービスを提供・享受できる。そう考えると、交際クラブを利用することで、特定の女性と恋人や妻に匹敵する信頼関係を構築することは決して不可能ではないはず。単なる結婚制度の穴埋め、セックスレスの解消手段といった表面的な役割を越えて、結婚と並行かつ独立した関係がつくれるのでは、と考えました」この仮説を基に、正一さんは恋人でも妻でも愛人でもない、「第四の関係」を構築できる相手を求めて、再び交際クラブの大海へと乗り出した。