露出を抑えて人気上昇

芸名とマネージャーを一新して、再び撮影会の仕事から始めることにした。紐下着で際どいポーズをして時給４０００円だった前回のスタジオとは異なり、今度のスタジオは、私服のままで時給７０００円。フリーなので、事務所に売上の一部を取られることもなくなった。「新しいマネージャーからは、『露出を下げないと、ちゃんとした仕事が取れなくなる。水着の撮影だけでイメージダウンしてしまうので、テレビには出られない』『露出度が上がるとお客さんの質も下がるので、私服の撮影会でもお客さんが来るようにしよう』と言われました」同じスタジオにいるタレントの中で、かすみさんだけ、他とは比べものにならないくらい露出度を下げられて、ポーズ制限もつけられた。あまりにも規制が厳しすぎたので、最初はマネージャーとケンカになったという。「これまでの仕事と露出度が違いすぎて、戸惑いました。私も露出すること自体にはには慣れていて、それほど嫌ではなかった。そして前のスタジオでは圧倒的な人気があった。でも今度のスタジオでは露出を抑えられすぎて、人気がなくなってしまった。ファンもゼロです。なので、最初はすごい焦っちゃって。『もっと露出させてほしい』という私と、『いやダメだ』というマネージャーとの間で、色々口論になりました」世間的には「売上のために露出度アップを求めるマネージャー／露出を嫌がるタレント」という固定観念があるが、現実は必ずしもそうではない。結果的には、露出を抑えたことで次第に人気が上がり、私服のままでスタジオで一番行列ができるようになった。露出度を上げ続けるといつかは飽きられ、人気も収入も頭打ちになる。それでも「稼ぐためにもっと脱がなきゃ」という思い込みに囚われて、より露出度を上げてしまい、ますます稼げなくなる……という負の連鎖に陥ってしまう。新しいマネージャーの戦略のおかげで、かすみさんはそうした罠に陥ることを未然未然に回避できた。「改めて振り返ると、マネージャーの言うことを聞いてよかった！と感じています」

先行き不透明な仕事を続けるために、交際クラブに登録現在の仕事は、撮影会が中心。活動を開始して３か月で、まだまだタレントとしては知名度がないので、営業回りをしている段階だという。「どういう方向性で売って行けるのか、まだ定まっていなくて。私は人前で歌ったことも演技をしたこともないので、女優向きなのかアイドル向きなのか分からない。色々なお仕事をやってみて、ハマりそうなものがあれば……という感じです。マシンガントークで年上の人にもタメ口でツッコミを入れたりしてしまうので、性格的にはバラエティが向いているのでは、と言われています」始めたばかりの芸能活動だけでは、安定的な収入は得られない。普通のバイトは拘束時間が長いので、タレントの仕事をしながらやるのは厳しい。やりがいはあるけど、先行き不透明な仕事を続けていくためにはどうすればいいのか……と悩んでいる時、たまたま友人からの情報で、交際クラブの存在を知った「同じスタジオで働いていた友人が、あまり仕事に来なくなったんです。久々に来た時に話を聞いたら『今は交際クラブで稼いでいる』って言うんです。『タレントの仕事よりも、全然稼ぎがいい』『デートだけでこれくらい稼げる』と聞いて『そんなうまい話、あるわけないでしょう？』と思ったのですが、もし短い時間で本当にそれだけもらえるのならば、本業のタレント活動に集中できる。そこで興味を持って、登録だけでもしてみようかなと思ったのがきっかけです」登録したクラブは、容姿・言葉遣い・礼儀作法などの審査が厳しいことで有名だった。かすみさん自身は問題なく登録されたが、その後に面接を受けた友人は不採用になった。「その友人は他のクラブにも入っていたので、面接で落とされたのは意外でした。女性の頭数さえ揃えておけばいい、というクラブではなかったですね」